この記事にAIタイトルを試してみたら、
「バスの試練:キルギスへの深夜便からの長い旅路」
ということになりました。
なんかかっこいいですが、私のイメージではないので却下。。
マナス国際空港の夜
深夜便でキルギスに到着した私は、とりあえず入国審査を抜けてロビーに抜けました。
ロビーでは大量の人がお出迎えに待っており、
私は早速、
「マダーム!ヘイ!マダーム!!タクシー!!ビシュケク!ビシュケク!」
とか言う面倒臭そうな白タク(キルギスには白タクしかないかもしれない)運転手に絡まれました。
全員いかつい男なので若干怖いです。
『というか、マダムって!マダムじゃないだろ!マダムって60歳くらいのイメージだし、知らんけど!』
と一人でぷんすかしながら空港ロビー(1F)の両替所に向かいました。
両替とSIMカード購入
両替所にはいい感じの若い兄ちゃんがいて、
「Oh, Japanese! Can you speak Russian?」(日本人じゃん!ロシア語しゃべれる?)
って聞かれたので、「スパシーバ、ハラショー」と答えておきました。
なぜか兄ちゃんは爆笑しながら
「You can say Спасибо,HAHA. It's a good word!」(スパシーバが言えるんだ、アハハ。いい言葉だよね!)
と盛り上がっていました。
確かにこの旅で、スパシーバとハラショーは100回以上使ったと思います。
両替所の次はSIMカードです。
隣の「O!」という会社のSIMカードで2週間分の商品をお願いしたら、
「1週間か1ヶ月分しかないから」と、$7の超高速SIMカードを購入することに。。
しかし、このSIMカードが田舎でも高速で超優秀で、私はこの時の店員さんのチョイスに随分救われました。
店員さんは15分くらいかけて私のスマホのSIMを入れ替えて有効化してくれました。
その間に交わした会話で得た情報は2つ。
・マルシュートカ(ミニバス)は朝6時半~19時くらいまでしか運航していない。とても安い。
・それ以外の時間だとタクシーを利用するしかない。かなり高い。
このSIMカード店の女性がすごくシャイで良い人だったので、個人的にこのお店をお勧めします(笑)
そして、
「SIMカードを買っているカモ外人が居るぜ」
とその様子を見守っていたと思しき店の外に立っていたタクシー運転手が、
SIM店を出た直後の私にまた絡みまくりました。
「マダーム、ビシュケク、ヤンデックスタクシーOK、アイムヤンデックス」
アイムヤンデックスって何だよ、ニュアンスはわかるけど。。と思いつつ、このタクシー攻勢に疲弊して1F隅っこのお祈りルーム横に避難した私は、
『もう空港に居たくない、ホテルを予約しよう』とネット検索を始めるも、
既に深夜0時を越え、ネットで予約するにはチェックイン時間がオーバーしているものばかり。
その様子を見に来たタクシー運転手にまた絡まれ、
「オレの知り合いのホテルに2000ソムで泊まらせてやろうか、タクシー代合わせて3000ソムだぜ!」
と、許容範囲内の価格だけど知り合いのホテルが怖すぎて受け入れられない交渉をされます。
※1000ソムが1800円くらい(2024年6月現在)
1Fにいたら永遠に絡まれ続けそうだったので私は2Fに避難しました。
マナス国際空港2F
2Fに上がった私は、『ここなら空港泊出来る』と安心しました。
2Fはチェックインカウンターやカフェ等のある階です。
タクシー運転手がいないうえ、地元民がたくさんいてにぎやか。危険な目にあうことも少なそうです。
早速疲弊した心をいやそうとカフェに入り、
ロシア語オンリーのおばさまにジェスチャーでカフェ(アメリカーノ)を頼みました。
カフェは250ソム(440円くらい)。
ちなみにカウンターにあった水のペットボトルは80ソム。
町中の個人店だと水は50ソムくらいでした。
眠くて返事のジェスチャーするのも面倒くさいらしいおばさまは終始キレ気味で怖かったですが、
いい感じのカップに入れてくれたとんでもなく濃いコーヒーを席まで持ってきてくれました。
(アメリカーノは日本のイメージとは違い、濃い可能性があります。注意!)
飲み終わって、カウンターで就寝中のおばさまに「スパシーバ(ありがとう)」と言って渡すと、
『こいつ、ありがとうは言えるのかよ』と和んだのか、笑顔で引き取ってくれました。
スパシーバ、大事です。
ちなみにキルギス語・ウズベク語のありがとうは「ラフマット」です。が、ロシア系の人は「スパシーバ」しか使っていませんでした。
空港泊を決めた私は、寝る場所を探してさまよい、
このカフェ店裏に、仲間(就寝者)がいる椅子ゾーンを発見しました。
マナス国際空港では充電場所が見当たらなかったため、スマホを使わずに寝ることにしました。
朝5時までをここで過ごし、夜明け(5時過ぎ)とともに外に繰り出しました。
2Fのインフォメーションで「マルシュートカ乗り場は空港を出てすぐ」と聞いていたので、1Fに降りて空港を出ます。
・・・ない。乗り場どこよ。
とさまよううちにまたタクシー運転手に絡まれる始末。
でもこの時間帯のタクシー運転手は優しく、マルシュートカ乗り場はあの辺(↓画像の〇のあたり)、とジェスチャーで教えてくれました。
マルシュートカ乗車(空港から街まで)
ここの横でマルシュートカを待っている間、近くにたむろっていたインド系の若者集団に声を掛けられました。
彼らは仕事でバングラディシュから来たらしく、日本人に興味津々です。
翻訳アプリを介してやり取りし、「バングラディシュには日系企業があるんだ!」と笑顔で答えてくれた彼ら。
私が「ホンダ?トヨタ?ヤマハ?」と聞くと、「ヒョンダー」と答えます。
『あぁ、ホンダかな?』と思ったのもつかの間、冷静に考えてみると、
これは「ヒュンダイ」なのでは。もしくは「ヒュンデ」。
いや、日系じゃないし!韓国!!
と突っ込みたいが、私にはそれを面白く言えるほどの英語力はありません。言うのを諦めました。
彼らと話していたら気付けば朝6時。
ようやく待ちに待ったマルシュートカがやってきました。
乗る時に運転手にお金を渡すシステムらしく、運賃の70ソム(120円くらい)を回収されました。
タクシーだと700ソム以上するので、10分の1で済んで最高です。
というか、始発は6時半と聞いていたけど6時に来ました。出発も6時過ぎでした。適当だな。。
人生初めてのマルシュートカ、空港からの道を爆走していきます。
マルシュートカの怖いところは、
バス停に待ち人がおらず、乗客が誰も降りる気配を出していなかったら、完全にバス停をスルーして行ってしまうところです。
私は2GISアプリの画面を食い入るように見つめ、降りたいところの300m手前くらいから降車口の近くに移動しました。
ここだ!というところで
「ズジェーシ(ここ)!ズジェーシ!パジャールスタ(すみません)!!」
とカタコトのロシア語でアピール。
運転手はしっかりと止まってくれました。
というか、何のアピールもしていなかった他の乗客も3人くらい降車しました。私の努力はなんだったのか。
もともとマルシュートカはここに停車する予定だったのかもしれません。
そこから徒歩15分くらいかけてビシュケク西バスターミナルまで向かいます。
↓マルシュートカを降りたのはこの青い屋根の建物の前あたり。
ビシュケク西バスターミナルまでの徒歩移動
平坦な道を進みます。
道端にぼろぼろの猫がしばしばいます。栄養状態が悪そう。
いい町は結構猫が元気なので、ちょっとビシュケクのイメージが悪くなった道のりでした。
バスターミナルまであと半分程度に差し掛かったあたりで、急に謎の男に話しかけられました。
キルギス語はわからないので、ジェスチャーで「バスターミナルに向かってます」とスマホの地図を見せながら伝えました。
それに無反応は男は、なぜかずっと後をついてきます。
『案内しようとしてる?謎だし怖いからひとけの多い道を通ろう』
と大きな通りを進んでいたその時、、
男は急に抱き着いてきました。
『いや、マジで超怖いんですけど!』
と焦った私はバッグで横腹を攻撃し、手でどつき、
「No!Stop!! Don't touch me!!」
と叫びました。
超怖いです。まだ男はまとわりついてきます。
超怖い。ビシュケク怖い。。
とにかくバッグをぐるぐると振り回して「No!No!」と叫びまくり、男が距離を取ったあたりで猛スピードでその場を脱出しました。
これが、ブログなどでたまに見かけていた、
中央アジアで外人(主に日本人女性)におさわりしてくる現地人か!
と、身をもって体験しました。お気を付けください。
ブログの先人たちと私の体験からすると、
「とにかく嫌だ、離れろ!」というスタンスで周辺の人に気付かれるくらいの動きでいけば大体どうにかなるようです。
とはいえ、ひとけのない道だともっと襲われる可能性があるので、ひとけの有る道を選びましょう。。
朝からとんでもない一日になりました。
ビシュケク西バスターミナル(アルマティ行き)
抱きつき男のせいでHP5くらいの瀕死状態でバスターミナルに辿り着きました。
バスターミナルは、東側(小)と西側(大)に建物が分かれており、
東側は近郊(イシク=クルなど)行きのマルシュートカ乗り場、
西側(↑画像の建物)は遠距離(国際線やオシュ方面など)バス乗り場、
になっています。
私は国際線のアルマティ行きなので西側のバスターミナル内でチケットを購入。
600ソム(1050円くらい)でした。
「8時発で11番乗り場だよ」と親切に受付のおじさんに教えてもらい、
バスターミナル内のトイレ(20ソムでめっちゃ汚い)に行ってから、売店を物色し、早めにバスに乗車しました。
ちなみに、売店には堂々とぺらっぺらのグッチのバッグが売られています。
適当に席に座り待っていると、
巨大なスイカを抱えた地元民っぽいおばさまが乗り込んできて、「ここ私の席よ!」というジェスチャーを私にしてきます。
『え、座席決まってるの?』
と驚きつつ立ち上がると、
おばさまは私のレシート(乗車券)をチェックし、「あなたはあっちよ!」と教えてくれました。
そしてバス内に既に(適当に)座っていた観光客たちは、自分のレシートをチェックしてそわそわと席を移動しました。
そして、とつぜんおばさまが私に話しかけてきました。
キルギス語が全く分からない私が「ワカンナイデース」のジェスチャーをしていると、諦めてスイカと共にバスを降りていくおばさま。
そして5分後、乗客はみんなバスを降りて行きました。
ヨーロッパ系の観光客が「Our bus was changed, next one.」みたいなことを言っています。
なるほど!
スイカのおばさまは私に「アルマティ行きのバスはあっちのバスに変わったのよ」と教えようとしてくれていたのです。優しい!
しかし、本来そういうことを乗客に伝えるべきバスターミナルのスタッフは機能していないようです。旧ソ連系の公共施設スタッフあるあるのやつかな。
キルギスの人は優しいと聞いていましたが、確かに優しい。。
変な抱き着き男でビシュケク嫌いになりかけていた私は、少し気持ちを持ち直しました。
ビシュケクからアルマティまでの国際バス
そして、気付けば何も食べていない空腹のまま、満席となったバスは予定通り8時に発車し、乾燥した大地を進んでいきます。
1時間ほどで牛放し飼いの国境に辿り着きました。
乗客はバスを降り、
バスの荷物入れに入れていた荷物も全部持って国境ゲートに入ります。
私は出国審査のレーンのうち、適当に真ん中のレーンに並びました。
そこに登場した巨大スイカのおばさまは、並んでいる人を完全に無視して先頭に向かい、
「私のスイカ重いのよ~、わかるでしょ、歳だから譲ってくれないかしら」
という雰囲気を急に醸し出しはじめ、一番前に突っ込んでさっさと入国審査を終えました。
10分くらい待った段階であと2人。2人が終われば私の番です。
と思っていたら、
急に現れた警備員みたいな人が並んでいる私のパスポートを見て、
「お前はあっちだ!」というジェスチャーで私を一番左の列の最後尾に移動させました。
外人は左の列とか決まりがあるなら最初から言ってくれよ!
と腹が立ちましたが、同じように何人も急に最後尾に移動させられていたので我慢します。
そこからさらに15分。ようやくあと2人になりました。
が、あと2人が全然終わりません。
出国審査官が何人か集まって話し合いを始めました。
私は後ろにいた同じバスの欧米人(多分)と顔を見合わせながら、さらに15分待ちました。
待って待って待ち続け、最終的に私の前にいた2人の若者は出国審査官に攫われていき、私はすんなり出国しました。
彼らはなんだったのでしょうか。不法移民?不法就労?ビザなし?
謎です。
そして緩衝地帯を移動し、カザフスタンの入国審査に辿り着きました。
日本では味わえない陸の「緩衝地帯」と自分の足で歩いて国から国を移動する時間。
国境を越えて新しい国に入ると、ほんのり雰囲気が変わります。
私はこの国境越えが大好きです。
(昔ジンバブエとザンビアとボツワナを移動したときを機にハマりました。)
↑画像はキルギスの出国審査に向かう道
カザフスタンの入国審査はそこまで並ばずにすんなり進みました。
審査官が「ヤポーニャ?」と聞いてきたので、「ヤポーニャ」と答えます。
私のパスポートを1ページずつチェックし、他の審査官を呼んで相談しています。
なにやら雰囲気的に「ビザ」とかの単語が聞こえたので、
「ヤポーニャってビザいらないんだっけ?」とか聞いているようです。
審査官がそういうことを覚えていないくらいには日本人はレアキャラなようです。
相談が終わり、スタンプを押してもらってカザフスタンに入国。
同じバスの人はさっきの謎の2人を待っている間にみんな先に行ってしまったため、一人ぼっちでアルマティ行きのバスを探さねばなりません。
(と思っていたけど、後ろに並んでいた欧米人の人を待てばよかったかもと今更思いました。)
とにかく近くにいる地元民に聞きまくります。
「グジェ(どこ) オートブス(バス) ダ アルマティ」
を連呼しながら、
出国から道なりに右手に曲がり、左手の道路を渡って左に進み、交差点を右へ、、
と地元民が指さす方へ進んでいくと、ドピンクのバスがありました。
そんな感じでカザフスタンの人々も優しいです。
ピンク過ぎてこれじゃない感を感じた私は、
バスの運転手らしい人に上記の言葉を聞きますが、「ノー」と言われました。
しかもバスの運転手は「来た道を戻れ」的なジェスチャーをしています。
『え、戻るの?地元の人がこっちって言ったから来たんだけど』
と困惑してうろたえていると、ピンクバスの前でタバコを吸っていた見るからに怖い全身ごっついタトゥーまみれの欧米人(多分)が
「What do you want?」
と尋ねてきました。
私「I want to go to Almaty, I find my bus.」
タトゥー氏「Your bus... You were from Bishkek? to Almaty」
私「Yes, from Bishkek.」
タトゥー氏「Ah, This is our bus. I was from Bishkek, too」
的なやり取りを経て、
結局のところこのピンクバスが私の乗るべきバスということが判明。
見た目は怖いけど親切なタトゥー氏に助けられました。
さっきの運転手の「ノー」を真に受けて危うくバスに乗らないところでした。
『こういう齟齬がこれからしばしば起こりそう、中央アジアの共通語と化しているロシア語をもっと勉強しとけばよかったなぁ』
としみじみと感じました。
危機を無事に乗り越えた私に、さらなる試練が待ち受けていました。
搭乗したピンクバスの私の窓側座席は、
なぜか最大に倒れた爆睡仕様のまま壊れていて起き上がらず、
そのまま寝そべると後ろの座席の人の顔下に私の頭が突っ込む形になってしまうため、
必死に腹筋を駆使して姿勢を直角を保たねばなりません。
走り出して1時間後、睡眠不足と抱き着き男からのストレスと腹筋疲労がたまったのか、
私はこの出国からアルマティ到着までの4時間のうちの大半を窓に頭をゴツゴツ打ち付けながら爆睡しました。
バスは無事、6時間半かけてアルマティバスターミナルに到着。
事前情報だと4時間半くらいと思っていましたが、
8時に出発し12時半(カザフスタンは時差-1時間なので、キルギス時間だと13時半)に到着という、
想定外に長い時間となりました。